平成10年分所得税の特別減税のあらまし

1998.01.13

  今般、「平成10年度税制改正の要綱」が閣議決定されました。この要綱に基づき、特別減税
のための法律(案)が成立し、施行されると、平成10年分の所得税について特別減税が実施され
ることになりますが、この特別減税は、平成10年分所得税の納税者に対し、その人の年税額か
ら扶養親族等の人数などに応じた一定額を控除するというものです。
  以下、この要綱に基づき、特別減税が実施された場合の概要について説明します。

  (注)説明文中の次の用語は、それぞれ次に掲げる意味で使用しています。
    「給与特別減税額」・・・・・・・・・・・給与の支払者のもとにおいて控除する特別減税額
    「月次給与特別減税額」・・・・・・・・・平成10年2月以後に支給する給与に対する源泉徴収
                                       税額から控除する特別減税額
    「年調給与特別減税額」・・・・・・・・・年末調整の際に年税額から控除する特別減税額
    「年金特別減税額」・・・・・・・・・・・公的年金等の支払者のもとにおいて控除する特別減
                                         税額


 1  特別減税の対象者
    特別減税の対象者は、平成10年分所得税の納税者である居住者又は非居住者 (総合課税の
  対象となる人に限ります。)です。

 2  特別減税の対象となる所得税
    特別減税の対象となる所得税は、「平成10年分所得税」ですが、源泉分離課税とされ又は
  源泉分離課税を選択した所得に対する所得税は除かれます。

 3  特別減税額
    特別減税額は、次の金額の合計額です。ただし、その合計額がその人の「平成10年分の所
  得税額」を超える場合には、その所得税額が限度となります。
  (1) 本人  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18,000円
  (2) 控除対象配偶者と扶養親族  ・・・・・・・・・・・・・・・・ 一人につき 9,000円
   (注) 月次給与特別減税額又は年金特別減税額は、平成10年2月1日以後最初に給与や公的
      年金等を支払うときの現況に基づき、また、年調給与特別減税額は、年末調整時の現況
      に基づき、それぞれ計算します。
        なお、月次給与特別減税額又は年金特別減税額は、最初の給与や最初の公的年金等の
      支払後にその計算の基となった扶養親族等の数に異動が生じてもその金額は変わらない
      ことになっています。

 4  特別減税の実施方法
    源泉徴収義務者のもとで行う特別減税の実施方法は、その所得税が給与所得に対するもの
  かどうかなどにより、次のようになります。

  (1) 給与所得に対するもの
      「平成10年分  給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している給与所得者 (いわゆる
    甲欄適用者) については、その給与の支払者のもとで次により特別減税額の控除を行うこ
    とになります。
    イ  平成10年2月以後最初に支払う給与に対する源泉徴収税額からの控除 (平成10年2月
      1日現在の甲欄適用者に対するもの)
           ・・・・・・源泉徴収すべき所得税額から特別減税額を控除 (控除しきれない部
                      分の金額は、以後平成10年中に支払う給与について源泉徴収すべき所
                      得税額から順次控除)
                       (注)1  これにより控除した後の所得税額をもって、その給与につき
                            源泉徴収すべき金額とみなされます。
                           2  平成10年分の給与収入が 2,000万円を超えることにより年末
                            調整を受けないことになると見込まれる人についても、主たる
                            給与の支払者のもとで月次給与特別減税額の控除を行うことに
                            なります。
                           3  給与支払明細書には、実際に控除した特別減税額を表示する
                            こととされています。

   ロ  年末調整時における年税額からの控除
          ・・・・・・・年末調整の対象者で、かつ、平成10年中に支払の確定した給与を基
                      に年末調整により計算した年税額 (住宅取得等特別控除の適用を受け
                      る場合には、控除後の残額) がある人は、その年税額から年調給与特
                      別減税額を控除 (上記イにより控除した月次給与特別減税額を精算) 
                      します。

  (2) 公的年金等に対するもの
      原則として平成10年2月1日現在「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出し
    ている公的年金等の受給者については、その公的年金等の支払者のもとで次により特別減
    税額の控除を行うことになりますが、その受給者の最終的な特別減税額の精算は、確定申
    告によって行うことになります。
        ・・・・・・・ 平成10年2月以後最初に支払う公的年金等について、源泉徴収すべ
                      き所得税額から特別減税額を控除 (控除しきれない部分の金額は、以
                      後平成10年中に支払う公的年金等について源泉徴収すべき所得税額か
                      ら順次控除)
                       (注) これにより控除した後の所得税額をもって、その公的年金等に
                          つき源泉徴収すべき金額とみなされます。

   (注) 確定申告をする事業所得や不動産所得などがある人の平成10年分の所得税の納付は、
      平成10年7月の予定納税から始まりますので、その際に予定納税額から特別減税額を控
      除します (控除しきれない分は、11月分の予定納税額から控除します。)。
        予定納税のない人は、平成10年分の所得税の納税が来年の確定申告時期になりますの
      で、その際、特別減税の適用を受けることになります。
      ※  給与所得者や年金受給者の方が不動産所得などの他の所得がある場合は、源泉徴収
        段階で特別減税の適用を受けた上、最終的には、確定申告の際に特別減税額を精算す
        ることになります。

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